冷徹部長の溺愛の餌食になりました
「ふふ、そうなんです。この前の広告評判よかったみたいで、クライアントから次も任せたいって言っていただけて!」
嬉しさを隠しきれず、つい大きな声が出る。
緩みきったにやけた顔で言った私に、その目も小さく笑った。
「そうか。よかったな」
「この勢いでいったら、そのうち久我さんよりいい成績出せちゃうかもしれないですね!」
「そりゃあ頼もしい」
久我さんは、調子に乗って言う私をあしらうように頷くと、思い出したように「あ、じゃあ」と口を開く。
「そんな忙しいお前は遊びに行ってる暇なんてないか」
「え?」
そう言いながら彼がジャケットの内ポケットからチラリと見せたのは、国内でも有名な超人気テーマパークのチケットだった。
「えっ、それ……!」
「残念だなぁ、折角チケット貰ったから一緒に行こうと思ってたのに。俺の成績追い越すくらいの仕事をするっていうなら、今以上に営業して勉強もしないといけないもんなぁ」
先ほどの私の発言への仕返しか、久我さんはニヤニヤと笑いながら言う。残念がってなどいないのは、その口調から明らかだ。
久我さんが一緒に行こうと思ってくれていたなんて嬉しい。
けどそんな言い方されたら、『調子に乗ってごめんなさい』と素直に言うのも悔しくて……。