冷徹部長の溺愛の餌食になりました
「なに見てるのかと思えば、その写真か」
「これ、同期の人たちと撮ったんですか?」
「あぁ。同期の中で写真撮るのが好きなやつがいてな。一番に課長になった時に昇進祝いにってその写真立てと一緒にもらったんだ」
周りから恐れられているイメージばかりが強かったけれど、意外と同期の人たちとは仲いいんだなぁ。
それは、めくった次からのページの写真にも表れていた。
歓迎会、飲み会、社員旅行……どの写真もみんな笑顔で、久我さんはいつもその中心に囲まれている。
写りたがらない彼をみんなが囲んで撮っているのかも、なんて想像して、微笑ましくて笑ってしまった。
次のページをめくると、そこには他の先輩たちと4人ほどで写っている。
けれどそこに写る久我さんは、こちらも今より少しだけ若い小宮山さんに肩を組まれ困った顔をしていた。
他の人とは明らかに距離感の違うふたり。
仲の良い姿に、それまで穏やかな気持ちだった胸がチリと焼け付くように痛んだ。
「……小宮山さんと、仲良いんですね」
こんなこと、聞いてどうするんだろう。
そう思いながらも、『そんなことない』、『ただの同期だよ』って言って安心させてほしいと期待してしまう。
その問いに隣に立つ久我さんは、小さく笑って頷いた。
「あぁ、そうだな」
彼の笑顔に、期待は脆くも崩れ去る。
「あいつ、しっかりして見えるけど抜けてることも多くてさ。つい気になるというか」
これまでのことを思い出しているのか、おかしそうに笑う。
大好きな彼の笑顔のはず。なのにその表情に胸がざわつく。