最後の初恋
 彩菜がいる生活が当たり前になりすぎていて、彩菜に何の興味もなく俺はテレビを何となく観ていた。
 テレビはゴールデンタイムでお笑い芸人が笑いを取っている。
 それを観て俺も何となく笑っていた。
 台所では女同士で何やら盛り上がり笑い声がする。
 腹が満たされ、今日の練習の心地よい疲れが出てきて俺はソファーに少し深く座っていた。
 テレビからはお笑い芸人の軽いテンポの会話と笑い声、台所からは女どうしが楽しそうに話をしている。
 何だか、少しうとうとして来た時である。
「ねえねえ~、何見てるの~?」
彩菜が僕の隣にダイブしてきた。

 ――彩菜の胸が俺の腕に!
 一瞬、ほんの一瞬、彩菜を女として意識してしまった。
 いつの間に大きくなったんだ・・・
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