最後の初恋
「お前はアホか。恐怖心のヒューズがぶっ壊れてるんじゃないのか?」
「だってあれだけのスピードじゃ私は、吹っ飛んで行かないもんね~」
「腹立つな~ それじゃ俺がチキンのヘタレだからぶっ飛ぶとでも言いたいのか?」
「うん!」
 ぐっ。
「どうした優人? 柄にもなく傷ついた?」
「お前ね、そんなんじゃ彼氏もできないぞ」
「おっと、星野優人、スキーでは勝ち目がないので話題を変えました!」
「ホントお前の頭の中、毎日がお祭りなのな」
「だって楽しい方がいいじゃん。で、優人は最近、美奈(みな)に興味津々のようだけど、どうなのよ?」
 嫌なところを突いて来やがる。誰にも話したこともない、ただ可愛いなと時折見ているだけのクラスメイトである。
「何のことだかサッパリ分からんが?」
「え、分かってないの優人?」
「何が?」
「あんたの視線よ」
「・・・・・?」
 俺、そんな露骨に見ている覚えはないんだけどな?
「優人、美奈の胸ばっか見てるでしょ?」
 な! いや胸だけ(、、)ではない。断じて胸だけ(、、)では。
「女の子は敏感なんだから気を付けなよ。あの視線は変態だよ」
「どんな目だ?」
「あー! やっぱ美奈のおっぱいに興味あったんだ~ !」
 しまった! 図られた!
「そっか、そっか。男の子って、なんでみんなおっぱいが好きなんだろうね~」
「へっ。悔しかったらみんなに見られるくらい、巨乳になってみやがれ!」
 あースッキリした――― ! 言われっぱなしだ。これくらい言っても罰は当たらないだろう。
 ――ギェ―――ッ !
否、彩菜の回し蹴りが俺の後頭部に炸裂した。
 だから、パンツが丸見えだっていうの。

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