8月のミラージュ 【ママの手料理 番外編】
俺らも、最初の方は何て声を掛ければいいか、どうコミュニケーションを取ればいいか分からなかった。



どう言っても、何と励ましても、全て空回りしそうだったからだ。



それに、彼女は本当に血が繋がっていた第1の家族と今回の事件の第2の家族、2つの家族を全員亡くしていたのだ。


もう、こればかりはさすがの俺達でもフォローの仕様が無かった。



家族を2度も亡くす苦しみ、悲しみは、俺には到底分からない。




けれど、crowと真正面から対決する事で紫苑の家族の敵を取った今、彼女の顔は晴れ晴れとしている。



何と言ってもその体験を通して、俺達と紫苑は本当の家族になれた。



男ばかりで仁の言う様に実際暑苦しくて、確かに下僕として笑美は居るけれど、笑美は何というかまた別の分類に入ると思う。



だからこそ、女子でピュアで明るい彼女と暮らす毎日は、全てが新発見で。



単純計算で半年程しか一緒に暮らしていないけれど、もう俺達には彼女が居ない生活は考えられない。



このチビが居るからこそ、俺達“mirage”は成り立っている。




そう、俺が思い出に浸っている事を1ミリも感じ取っていない彼女は。



「やばいこれめっちゃ美味しい!革命!マカロン革命!」
< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop