この世界を、きみとふたり生きた奇跡。
それから数時間。……入院生活というのは、とても暇だ。
前に盲腸を発症して入院生活を送ったことのある友達が『とても暇だった』と言っていた。その時は、入院なんて、学校サボれるしいいじゃん、って思ったんだけど、今回自分がその立場になってようやく意味が分かった気がする。
暇すぎる故にすることが何もなくて、とりあえず暇つぶしにとテレビを見たりしていたけれど、朝の時間帯には面白い放送なんてない。
スマホを触るのもいいけど、あんまり長時間触りすぎると目もチカチカして疲れてきちゃうし。
今日は木曜日。
とりあえずみんなに謝罪しておこうと思い、クラスメイトには、《明日は学校に行くね》って、咲にも、《心配かけて本当にごめんね》って、メッセージを送ってから、私はベッドから起き上がった。
そして室内スリッパを履くと、スマホを片手に病室を出る。
──10時45分。
チラッと見た壁掛けの時計は、現在の時刻を告げる。
お昼ご飯は、12時から配膳だと説明があったから、少し出歩いても大丈夫だよね。
捻った右足がやっぱり少しだけ痛むけれど、お医者さんの言う通り、歩けないほどじゃない。息抜きと暇つぶしの意味をこめて、少しだけ院内を散歩しよう。
私はナースステーションに立ち寄って、テラスに行きますと告げてから目的地まで歩き始めた。