この世界を、きみとふたり生きた奇跡。
褒められているんだとは思うけれど、全く嬉しさを感じない。私も少しだけムキになってしまう。
「あなた、誰?」
「え、俺?俺は本村日向。高1の16歳」
高校1年生、ということは、私よりもひとつ年下か。
この人、私のことを年上だと思っていないのだろう。こんなにも生意気な態度とっているんだから。
「私は白石未央。高校2年生で17歳」
あくまでも私の方が年上なんだからね、という意味を込めて少しだけ得意げに言ってみたけれど、彼はそれにびくとも動じずに、
「未央、か。よろしくな」
って、嘘くさくも思えるほど爽やかな笑顔を向けた。
……本当、なに?
急に呼び捨てだし、初対面なのに馴れ馴れしいし、横暴な態度もとってくるし。
「残念ながら、私はこれからも日向とよろしくする気はないから」
なんて、少し意地を張るように私も日向のことを呼び捨てにして、そんなことを言い放ってやった。
……それなのに。
「未央と俺はまた会うよ。だって、今ここで連絡先交換するんだから」
「は?」
「ほら、早くスマホだせ」
「……いや。……って、ちょっと、あんた、なにしてんの!?」
こんな礼儀もなってない、生意気なやつなんかと誰が連絡先交換するのよ、って思って拒否したのに、日向は私のズボンのポケットからチラリと顔を覗かせていたスマホをひょいと手にとると、勝手に私のスマホを操作し始めた。