この世界を、きみとふたり生きた奇跡。
……大丈夫。全部分かってるよ。
なんて意味を込めてもう一度微笑むと、お母さんも笑い返してくれて、ふたりでお医者さんの方へ視線を向ける。
「脈拍も血圧も異常なし、spo2も現在は異常見られません。我々から見ても問題はないと思うのですが、一応頭を打っているので、今日一日は安静の意味をこめて入院してもらうことになります。よろしいでしょうか?」
お医者さんから放たれた言葉に、お母さんが「よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。
そのあと、付き添いをどうしようかしら、ってお母さんに言われたから、「17歳にもなって付き添いは恥ずかしいし、一人で大丈夫だよ」って伝えて、お母さんには龍と一緒に帰ってもらった。
お医者さんいわく、私の容態がこのまま悪化しなければ、明日の15時には退院予定らしい。
お医者さんは最後に、
「右足のほうは軽い捻挫ですから、あまり心配しなくて大丈夫ですよ。全治1週間ほどですかね。恐らく少し痛むくらいで歩けると思いますが、無理して歩きまわらないようにしてくださいね」
そう言ってにこりと目尻を下げると、病室をあとにした。