この世界を、きみとふたり生きた奇跡。
生意気な少年
自然と目が覚めたのは、7時を少し回った頃。
朝食が運ばれてきたタイミングで、看護師さんが、
「体調いかがですか?昨日は眠れました?……朝食前に、少しだけ朝のバイタル測らせてくださいね」
と、私のベッドサイド近くにあったイスに腰掛ける。
手には血圧計を持っていたから、血圧を図るんだろうと思い、私は静かに左腕を差し出し、そっと目を閉じた。
……いい匂いだなあ。
目を閉じていると、嗅覚が敏感になったのか、朝ごはんの美味しそうな香りが漂ってくる。
「……はい、熱もないし、血圧も高くない。問題ないですね。では、ごゆっくりお召し上がりください」
「ありがとうございます」
体温やら脈拍やら、一通りのことが終わったあと、看護師さんはそう言って笑顔を見せた。私はゆっくりとベッドから体を起こすと、きちんと両手をあわせてから、目の前に置かれた朝食を食べ始めた。