泣いた、緋鬼
手の中の香水を見ると、少しボロボロになっていた。





―――そっか。だから、希くんと、母は同じ匂いがするんだ。






「だから、私は疑ってるのよ。彼が

―――幻夢君の復讐のために未菜に近づいたんじゃないかって」






「――――そんなことない!」






―――パリン!





叫んだ瞬間に、手から香水のビンが滑り落ち、割れてしまった。



「――ハァッ!ハァッ!ハァッ!ハァッ!―――」





怒りで上がってしまった心拍数のせいで発作が起きる。




「――未菜!」






「――来ないで!」

慌てて駆け寄ってきた母を止めると、大きく深呼吸をする。






―――次第に、発作が収まっていく。





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