泣いた、緋鬼
「―――あなたは、悪い人?いい人?」
美少女は、俺に首をかしげてそんなことを聞いてくる。
悪い人か、いい人かって?
それは―――。
「―――わからねぇ」
町を守るためとはいえ、俺は暴力をふっている訳で、必ずしもいい人とは言えねえ。
でも、悪い人かって聞かれると、それも違うような――。
「―――そっか。私は今居未菜(いまい みな)って言うの。あなたの名前は?」
美少女―――もとい未菜は俺に名前を聞いてきた。
「俺は宮家希だ。この町を仕切ってる、暴走族の総長だ」
わざと暴走族、なんて怖がらせるような事を言った。
こんな病室にいる少女は、多分俺らとは無縁の人間。