泣いた、緋鬼
―――かっこいいのか、可愛いのか分からない。
「――ぅわぁっ?!」
希くんにぎゅっと抱きつく。
希くんが私の頭にポン、と手を置いた。
「未菜さぁ、抱きつくの好きだよな」
希くんの優しい声が落ちてくる。
「…うん。希くんの匂い嗅ぐとね、落ち着くの。発作も起こりづらいし」
「フッ…、そりゃ良かった」
希くんの手が私の頭を撫でる。
希くん、私今、スッゴク幸せだよ―――。
「―――本当に送っていかなくていいのか?」
その日の夕方。
希くんは心配そうに私の顔を覗き込んで言った。
「うん。家はすぐそこらしいし、久しぶりに歩きたいし」