泣いた、緋鬼
「あんた……、あいつの女?」




―――それは、あまりにも突然だった。





一気に、私は大柄な男たちに囲まれた。

金髪、赤髪、白髪、青髪、黒髪…。

様々な髪色をした彼らと、胸元の鳳凰が描かれた特効服を見て、瞬時に彼等が何者かを理解する。

これが、[鳳凰]…。

すごく怖い……!

思わず自分で自分を抱き締めてしまう。

「この女が《緋鬼》の女なのは間違いないっす。俺、この耳で聞いたっすから」

男たちの中で唯一[鳳凰]の特効服を着ていない男が言った。





「…そうか。―――連れてけ」





「―――!」





リーダー格と思われる男がそう言った途端、腹に殴られたような痛みを感じ、私は意識を失っていった―――。





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