泣いた、緋鬼





「ん…、んん―――?」





「お、やっと起きたか」

薄汚くて暗い倉庫の中で、未菜は大勢の[鳳凰]のメンバーに囲まれて目を覚ました。

「ここは…」

「ここは[鳳凰]の倉庫だ。んで、あんたは人質。《緋鬼》を潰すためのな」

未菜の質問に大柄の男が近づいてきて答えた。

「俺は、総長の松枝輝明だ。あんたには暫くそのままでいてもらうよ」

輝明は不適に笑って未菜の手足を縛っている縄をなぞった。




「――!私を人質に希くんを倒そうとするなんて――、卑怯にも程があるんじゃないですか!」





「――卑怯?」





未菜が叫ぶと輝明はおかしそうに鼻で笑う。
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