泣いた、緋鬼
「あんたの首筋に傷でもつけたら、どんな顔すんのかなぁ、《緋鬼》」

ニヤニヤと笑いながら輝明はスッとナイフを引く。

相当切れ味が良いのか、軽い力でも未菜の首筋に一筋の赤い傷ができる。



「―――ハアッ!ハアッ!ハアッ!―ハアッ」





未菜の呼吸がどんどん荒くなる。

恐怖で怯えた目で輝明を見ると、輝明は面白そうに未菜の頬を撫でた。




「怖いか――?でも、こんなの序の口だよ。恨むなら《緋鬼》を恨めよ……」




輝明はそう言うと、さっきよりも少し強い力でナイフを引く。

今度は、ツウッと傷口から血が出てきた。




「――ハッ、ハッ、ハッ、ハヒッ、ヒッ、ヒッ――」



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