泣いた、緋鬼
第7章 全てが始まりを告げる
*side 未菜
――とても、短くて、幸せな夢を見ていた気がする―――。
幸福とも、不幸とも呼べる私達の出会いは、きっと短い間でも確かに光輝いていた。
自由を手に入れるまでにあまりにも時間がかかりすぎてしまった。
やっと手に入れてもそれは、つかの間の自由。
私と共に滅び行く運命なのだとしたら―――。
私は、自由を選んでいただろうか。
――ううん。
私は選んでいた。
あの狭くて無機質な病室から抜け出そうとしていた。
それで滅んでしまっても、かまわない。
かまわないから―――。
どうかもう一度、彼に会わせて――。
希くんに、会わせてよ―――。