泣いた、緋鬼
明らかにこの暗い雰囲気の会場に不釣り合いな会話が聞こえて、動きを止める。

声のした方を見ると、そこには大勢の男子がいて、金髪だの、緑髪だのをしていた。

その中には怪我をしている人が大多数で、一目で暴走族だと分かった。





暴走族―――。





ドクン、と心臓が脈打つ。

不思議なことに、死んでしまってからは、どれだけ心拍数が上がろうが発作が起きない。

ありがたいような、そうでもないような……。

少し複雑な気持ちになる。

ブルブルと頭を振って、ごちゃごちゃな気持ちをかきけすと、改めて、会場に来た暴走族を見る。

[鳳凰]か、[幻夢]か…。

どっちか分かったとしても、幽霊である私には何も出来ないけれど、死んでしまってからも憎い相手の顔は見たくない。
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