泣いた、緋鬼
将太さんはグッと拳を握りつぶす。




「そんな希にも、
復讐より大事な物ができた―――。


残酷だよな、出来た途端に消えちゃうなんて」



少し残酷な笑いを浮かべた将太さんは悲しそうな顔をして息をはいた。

「……とにかく、今は希があんな状態だし、いつも以上に気を付けなきゃいけないんだ。それに、ちゃんと未菜ちゃんの御家族にも謝らないと…」

「うん…、そうだね…」

整った顔の人以外にも、その周りの人たちも頷く。

そんな……、別に[幻夢]の人たちは謝らなくても良いのに……。

悪いのは、全部[鳳凰]なのに…。

生きていたのなら、もしかしたら知りあいになっていたかもしれない彼らに、謝ることなんてないと叫びたいけれど、無力な幽霊の私はなんにもできない。
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