泣いた、緋鬼
「ごめんなさい」と心の中で一人一人の顔を見ながら謝る。






え―――。






そして、一人の男子の顔を見て、止まった――。






あれは、あの顔は――――。





―――――『この女が《緋鬼》の女なのは間違いないっす。
俺、この耳で聞いたっすから』――――






私を誘拐した、[鳳凰]‼

ドッドッドッっと一気に心拍数が高くなる。



どうして、どうして彼がここにいるの――?!




何で、[幻夢]に居るの―――?!




嫌な不安が胸を過る。




まさか、まさか―――。




彼は、スパイなの――――?





そこに居るのが当たり前のように平然と混ざっている彼は、私の葬儀場に来ていてると言うのに、全く動揺を見せない。
< 154 / 170 >

この作品をシェア

pagetop