泣いた、緋鬼




何で、何で――――。




状況が整理出来ていないからか、頭がグルグルとする。




分からない、分からない――――。




「誰ですか、あなたたち‼」

突如、葬儀場に母の声が響き渡り、私は思考の渦から解放される。

ハッとして母を見ると、母は怒りの形相を露にしていた。

母はツカツカと将太さんに詰め寄ると、パン!と一発彼を平手打ちした。

突然のことに、その場に居た全員が唖然とする。

将太さんがヒリヒリと痛むはずの頬を押さえて、母を見た。




「一体何をしに来たのですか⁉娘を嘲笑いにでも来たの?!この――――人殺し!!!」





母の言葉に、整った顔の人が顔を歪めた。
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