泣いた、緋鬼

「はい…。本当は[幻夢]っていうんですけど…。俺達は、謝っても謝りきれないことをしてしまいました…。人殺しって言われても仕方がありません」

「あの…、少しだけ、誤解を解いておきたいんですけど…。総長は、ちゃんと娘さんを愛してました。バットでボコボコに殴られても、娘さんをずっと抱き締めてたんです。だから、総長を責めないでください……。勝手ですけど、ごめんなさい…」

横から顔の整った人が口を出す。

でも、それは総長である希くんの威厳を守るためで、決して自分達を正当化しようとか、そういうものは一切感じられない。

いつか、希くんが


『鳳凰]は、好き勝手やってたから、よく思ってないやつも多くて、仲間を集めるのは簡単だった。俺は、そんなあいつらを利用して、[鳳凰]を潰したんだ―――』


って言ってたけど、違ったよ、ちゃんと慕われてたんだよ、希くんは。