泣いた、緋鬼

死んだら、終わりだと思ってた。

状況次第でいつ死んでもおかしくない私にとって、死は常に身近にあった。

その度に思っていた。



――ああ、死んだら、こうやって看護師さんたちとか、母に心配かけることも無くなって、徐々に存在が薄まっていくんだなって。



だから、将太さんの言葉は私にとっても、母にとっても救いだったのかもしれない。

母は何度も力強く頷くと、金髪だの、緑髪だのに囲まれて、声を出して泣いた。

何度も、何度も、私の名前を呼んで。

不良たちに囲まれて泣く母の姿は明らかに異様なものだったけれど、私には、彼らが母を守ってくれているように見えた。