泣いた、緋鬼
やがて、私の死体は焼却炉へと持っていかれ、母、親戚、看護師さん、公康君、そして、[幻夢]の人達に見守られながら焼かれた。

一瞬見えたメラメラとした炎を見ながら、自分の肉体が消えていく瞬間というものをアホみたいに凝視していた。

でも、心はそんなに重くなくて、葬儀場に居る沢山の人たちを見下ろしながら、感謝の気持ちを込めて、頬笑む事が出来た。






「今まで、お世話になりました――」







誰にも聞こえなかったその声は、その言葉通りに、墓場に持っていかれる事になる。

母がもった骨箱を見つめながら、自分の墓まで母のとなりを浮遊する。

やがて、私の骨箱は無事墓へと納められ、今日から私が安らかに眠る場所となる。
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