泣いた、緋鬼



―――ありがとう。皆。




墓から去っていく皆の後ろ姿を見送りながら、私は手を振り続けた。










――五年後。





雪がチラホラと降り、ホッと息をはくと、白い息が漏れでるそんな季節。

世間のクリスマスムードも終わり、これから新年だ、という時期に、私は死んでから五年目を迎えた。

うっすらと雪が積もる墓の上に何となく座り、ため息をはく。

飾られた花の匂いを感じ取りながら、空を見上げると、どんよりと曇っていた。

まるで私の心模様みたい。

希くんは、私が死んでから一回もお墓参りに来なかった。

将太さんや、[鳳凰]のスパイだった慶太さんでさえ、墓参りに来て謝罪してくれたのに。
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