泣いた、緋鬼




「久しぶり、未菜――――」






その言葉に、ぶわぁっと涙が出てくる。





まさか、会いに来てくるなんて思ってもいなかった――。



五年ぶりの墓参りなんて、遅すぎるよ、バカ。

成長して大人びた希くんは髪を黒髪にして、落ち着いた服装をして居た。

首からはカメラを吊るし、手には封筒が握られている。

希くんはその場に胡座をかいて座ると、墓石を撫でた。




「――ごめんな、こんなに遅れて」

希くんは言うと、封筒から幾つかの写真を出した。





「――実はな、未菜のお母さんと約束してたんだ。未菜の分まで自由を見せるって―。大分時間がかかったけど、これが俺が未菜に見せたかった自由だよ」




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