泣いた、緋鬼
希くんは写真を1枚1枚丁寧に広げて見せてくれる。


それは、ヒマラヤ山脈で取った風景だったり、外国の人達と楽しそうにご飯を食べている写真でもあった。


「日本国内だけじゃなくてさ、いろんな国にも行ったんだ。

金が無いから、外国に行くために受験そっちのけで必死にバイトして金ためてさ。

そのせいで、未菜には会いに来れなかったけど……」


希くんは申し訳なさそうに言うと、頭をガリガリとかいた。


「未菜が死んでからさ、俺、どうすればいいのかわからなかったんだ。

何をするのが正解なのか、何をすればいいのか。

全部分からなくて、それでも、今日まで足掻いてきた」
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