泣いた、緋鬼
「――これを、受け取ってほしいんだ」
そう言って、希くんが差し出したのは、希くんがつけている指輪のペアリング。
―――え?どういうこと?
「いろいろ、俺には言いたいことがあるかもしれないけど、それでも、俺は未菜以外を好きになれない。
――だから、受け取ってほしい」
真面目な顔でいう希くんに苦笑してしまう。
返事も出来ない幽霊にそんなこと言うなんて、馬鹿な人。
でも、とってもうれしい――――。
私はコクりと頷くと、希くんの手を優しく握る。
ありがとう、希くん、ありがとう――。
希くんへの感謝を何度も伝えると、冬の風に身を任せ、私は希くんの心の中へと入り込んでいった――――。
~END~