泣いた、緋鬼
母は念を押すように言うと、チラリと時計を見て、「仕事だから」と言う理由で去っていく。

この病室に私一人になってしまった。

横を見ると、常に側にある心電図。

今は平常の心拍数を示している。




だけど、これがもし180を越えたら――――。






「――――今居さん、入ります」







看護師さんの声がしてハッと現実に帰る。

いけない、ボーッとしてた。

「今居さん、さっき心拍数が高くなっていたようですが、息切れ、動悸などはありましたか?」

看護師さんが心配そうな顔で聞いてくる。




「―――少し。でも、今は大丈夫です」




「そうですか」

看護師さんはホッしたような顔をすると私を見て言った。
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