泣いた、緋鬼



―――バキッ!





男の顔面を全力で殴った。

男がどさりと地面に倒れ込む。

「おい、お前、《緋鬼》の噂に足しとけよ。『嘘が大っ嫌い』だってな」

男にそう言うと、路地裏から色とりどりに彩られた繁華街へと出る。




夜だと言うのに明るいここは、俺にとっては落ち着かない――。




「希、こっち徘徊終わったよン♪」

背後から、同じ暴走族の仲間で俺の信頼している一人である岡多将太(おかだ しょうた)が近づいてきた。



「終わったか。――――異常は?」




「特になし。おっさんとJKが一緒にホテル入ってったくらいかなー」

「そう言う情報は要らねぇ」
< 4 / 170 >

この作品をシェア

pagetop