泣いた、緋鬼
第3章 爽やかクリームソーダ

*side 未菜






―――コンコン。





病室のドアが2回ノックされて、よく知った顔が入ってくる。

「未菜さん、体調はどう?」

その人は先ず真っ先に私の体を気遣ってくれた。





「―――ありがとう。平気だよ」





作り笑いを浮かべて応える。

だけど、こう言うことを言われるのって自分が病人だってことを嫌でも自覚させられるから私は好きじゃない。

それでも、母に仲良くしなさいと言われているから、嫌な態度は出さない。





―――高階公康|《たかはし きみやす》君。






この病院の副院長の息子で、私の一つ下。

私が六歳の頃から、彼はこうしてときどき見舞いに来てくれる。
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