泣いた、緋鬼




「―――あれは!緊張……してたんだよ」






ゴニョゴニョという希くんが可笑しくて、ついつい笑ってしまう。





「――何笑ってんだよ」





希くんは拗ねたような顔をして、私のそばにある椅子に座る。






「――――ん」





短い言葉と同時に、私の前にペットボトルが差し出される。




「―――何?これ?」




不思議に思って聞くと、希くんは窓の外を指差して言った。

「そこのコンビニの700円くじで当たった。俺はもう飲み物あるし、未菜にやるよ」

希くんの手元を見ると、コンビニのレジ袋が握られている。




「――ありがとう」




お礼を言って受けとると、ペットボトルには【爽やかクリームソーダ】と書かれていた。
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