泣いた、緋鬼



――――ドキンッ!





嬉しさで心臓が大きく跳ねた。





私に、会いたくて―――?





私の体調とか様子とかを気遣ってきた訳じゃなくて、ただ単に会いたいから来てくれたんだ――。




嬉しさで顔がにやける。

希くんの前では、私、病人じゃなくて、普通の友達なんだ。




「希くん、ありがと―――――――――っ!ハッ、ハッハッ―――」




希くんにお礼を言おうとしたとたん、発作に襲われる。




しまった――――、心拍数上がってたんだ―――!




「―――はぁッ!は!はぁッ!は!―――」




止まらない発作。呼吸困難。




――ああ、やっぱり私、病人のままなんだ。


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