泣いた、緋鬼
第4章 泣かせてやるよ
*side 希
「――ぞむ、のぞむ、希!」
「――――ハッ?!」
誰かに体を強く揺さぶれて起きると、目の前に困った顔をした将太が立っていた。
「あのさー、もう全授業終ってるよン?いつまで寝てんのさ」
呆れた顔をして将太が俺の頬をつねってグニグニと動かす。
その手を軽く払い除けて、大きく伸びをする。
「――ああ…ちょっと考え事してたから眠くなって」
俺がそう言うと、将太が眉間に皺を寄せた。
「考え事?希が?何それ、変なものでも食べたの?」
将太の言いぐさに、少しいらっとする。
「うるせーな、食ってねぇよ。俺だっていろいろあんだよ」
プイッと顔を剃らして言うと、将太は何かを考えるように天井を一瞬見上げるとため息を漏らした。