泣いた、緋鬼
ナイフでざっくりと切られてしまった俺の腕は、さっきから流血が止まらない。




止血したいけど、するものが―――。




「―――おい、止めろ」




慶太にそう言って、運転させていたバイクを停めさせる。

「彼処に病院あるだろ。そこから忍び込んで包帯貰おう」

「えー、それ犯罪じゃないっすか!ダメっすよ!」

慶太がブーブーと文句を言う。

「しょうがねぇだろ。ちゃんと見て貰おうにも金がねぇだろ、二人とも。包帯代だけ置いて帰ろうぜ」

「えー、じゃあ、総長が行ってきてくださいよー。そんな犯罪まがいのこと出来ないっす」

「マジかよ…、俺病院嫌いなんだけど…」
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