泣いた、緋鬼
「……ああ、わかってる。だから、アイツは姫なんかじゃない」

言いながら胸が張り裂けそうだった。

辛いとか、そんな泣き言は言わない。

何かを成し遂げるために、何かを捨てなきゃいけないのなんて分かりきってる事だ。

ただ、俺は。






どうしても、未菜を捨てることなんて出来ないんだよ――――。





「―――じゃあ、あの子とは別れるってことで「総長!」





将太が言おうとした言葉を遮って、後ろから慌てたような声が俺を呼んだ。

振り替えると、顔を真っ青にした慶太がバイクに乗って息を切らしていた。





「―――慶太?何で、ここに?」





「総長をずっと探してて、思い当たるのがここで―――。



それより、大変っす‼




―――――[幻夢]が[鳳凰]に襲撃されたっす!」






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