泣いた、緋鬼




[幻夢]が、[鳳凰]に―――?



一気に身体中から血の気が引いていく。




「―――くそっ!何で今―――」





「良いから!取り敢えず倉庫に急ぐよ、希!」

将太は叫ぶと倒したバイクに股がって急発進する。




「――ああ、くそっ!慶太!お前ちゃんとついてこいよ!」





慶太に注意して俺もバイクを倉庫へと走らせる。

冬の寒さが肌に凍てつく。





―――どうか、全員無事でいてくれ――――!







そう願いながら倉庫にたどり着くと、騒がしいほどの喧騒が聞こえてくる。

「制服なのに……」

将太が少し嫌そうな顔をして制服を摘まむ。

「そんなこと言ってられねぇだろ。今は仲間優先だ」
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