泣いた、緋鬼
顔をしかめると、慶太が親指を立てた。

「頑張ってください!総長‼」

こいつもう一生助けねぇわ。

「あー、くそ。めんどくセェ」

ぼやきながら病院の駐車場をひっそりと横切って、病院脇に移動する。

「あ、彼処窓開いてんじゃん」

視線を斜め上に向けると、病室の一室であろう窓が開いていた。

よっしゃ、そこから入るか。





周りに見られていないか確認して、窓に手をかけて入ろうとしたとき――――。





「誰――?」





「――――!」






病室の奴に見つかった。

やべえ!逃げないと‼





クルリと向きを変えて走り出そうとしたとき――。





「――お願い!待って‼」




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