泣いた、緋鬼
体をほぐしていた誠が俺に駆け寄ってくる。

「えー、男の手当なんて嫌なんだけど。せめて女子にしてくれない?」

誠が不服そうに口を尖らす。

「うるせぇ。いつもデートで遅れてくるんだからこれぐらいしろ」

「分かったよ…」

俺が命令すると誠は担いで[鳳凰]の奴を運んでいく。

「それにしても…、こっちの被害も酷いね…。早く手当しなきゃ…」

将太が真剣に言う。





「――ああ、なにしろ、まだ終わってないらしいからな。油断できねぇ…」





俺が言うと、将太が深く頷く。






――このときの俺はまだ知らなかった。






――最悪の結末が俺達を待ち受けている事なんて―――。





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