泣いた、緋鬼
「……公康くんなら優しいし、未菜の病気の事もよくわかってる。ゆくゆくはこの病院を継ぐ事になっているし。どう考えたって未菜に相応しいのは公康くんでしょ?」

「別に私は結婚なんて望んでない」

「……そうね。その体じゃ子供だって作れない。それでも良いって言ってくれてるのよ、公康くんは」

「そう言えば確実にこの病院を継げるからでしょ?」






「――未菜!いつからそんなことを言うようになったの!」






母がバン!と机を叩く。

私は母から目線をそらした。

「別に。私は本当はこんなんだよ。いい子のフリしてただけ」

私が言うと、母は複雑な顔をして椅子に座り直す。
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