泣いた、緋鬼





「……全部、彼のせいね。こんなことになってるのは。彼は



――復讐でもしに来たの?」






「―――え?」






意味が分からないことを言い出した母に驚いて目を丸くする。






―――復讐?なんの、事?






「何、それ。よく分からない」

私が言うと、母は少し悲しそうな顔をして話し出した。

「実はね……、もしかしたら、彼の弟、宮家幻夢くんは、本当は助かってたかもしれないの」

嫌な汗が額を伝う。

なんだろう、聞いちゃいけないような気がする。





「あの日運ばれてきた幻夢くんは、重症ではあったけれど、助かるかもしれない状態だったの。




―――幻夢くんの手術は私がしたわ。その時に、





―――彼もいた」





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