明日には...。
今でもあの時のことを思い出す。

君との時間が一秒一秒、脳裏にしっかり刻まれている。

あの時言えなかった言葉を物語にして君に伝えよう。


「おーい、ヒロキ!部活始まんぞー。」



「ンん…?」



「お前さー、いつまで寝てんだよ。授業とっくに終わったぞ。早く起きろ!」



ヒロキは不機嫌そうに顔を上げ、黒板の上にあるアナログ時計をチラッと見た。

「うぇ!?やっべ!まじじゃん!リュウセイなんで起こしてくんねーんだよ!ぶさけんな!」



「でったー、理不尽な逆ギレ!てめー、一限から六限までずっと寝てて、昼放課も体育の時も起こしたのに起きなかったのはどこのどいつだよ!」



「…?」



ヒロキはリュウセイの顔を何度も見直した後にすぐ近くに貼ってある時間割表を確認しに席を立った。



時間割表を確認するとヒロキは


「なあ、リュウセイ…」



「あ?なんだよ」




「今日の体育ってタツロウ先生の日か?」



「そーだけど?」



「211と体育の日か?」

リュウセイはヒロキが何を言いたいか悟った。


「ドンマイ」



ヒロキはリュウセイに飛び掛り、胸ぐらを掴んだ。



「てめえぇぇ!なんで起こさねーんだよ!ふざけんな!ユナちゃんのクラスと体育じゃねえか!俺の週一の楽しみを奪いやがってえぇぇぇ!」



「あー!?起こしたっつってんだろーが!てめえこそふざけんな!ボケ!」

2人が言い争っていると教室の扉が開いた。


二人は一斉にドアの方を見る。


そこに居たのは、目がパッチリした髪の長い、如何にも学園一美女の顔立ちの女の子だった。


ヒロキはその瞬間、リュウセイの胸ぐらから手を離し、ついさっきまでキレていた奴とは思えない切り替えの早さで気持ち悪いくらいの笑顔になった。


「ユナちゃん…?」



「あ!いたいた!ヒロ君!」



ユナがヒロキの目の前まで駆け足で向かってくる。


「おおぉお!?なになに!?」



ヒロキは顔を真っ赤にしながら、ユナから少し目を背ける。



「いやー、今日体育で見かけなくて、リュウセイ君に聞いたら体調悪いとか言ってたから、心配で様子見に来たの」


「え?」


ヒロキはリュウセイの方をチラッと見るとリュウセイはドヤ顔をしていた。
「ヒロキ、俺先部室行ってるわー」


「お、おう」


「ユナちゃん、じゃーねー」


「バイバーイ」



さっきまでうるさかった教室が一変して、二人だけの空間を静かに見つめている。



少しの沈黙が続き、思い出したかのようにヒロキが



「それでわざわざ、来てくれたの?ユナちゃん優しいなー」



「そりゃ心配するよお」



「そ、そーなの?」
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