敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
それからみんなで少し話していると、姉が私を自分の部屋に呼んだ。
「華、おめでとう。華の幸せそうな顔なんて、もう何年も見てなかったから、すごく嬉しい」
「お姉ちゃん……ありがとう。
お姉ちゃん、ごめんね……」
「華、待って。私今、華に謝られることなんて何もないわ」
そう言って、姉は優しく微笑んだ。
「私はね、ピアニストを目指していた頃、練習が大変でもいつも楽しかった。
でもね、いつの頃からか、たまに苦しく思うことがあったの」
「お姉ちゃん?」
「私ね、いつの間にか華のことを羨ましく思ってたの。
華のピアノの音色は、いつもコンクールで好評だったね。あんな音色は、どう頑張ったって私には出せそうになかった。ある意味限界を感じていたの。
だから、このままピアニストを目指すかどうかも迷いがあったの。
そんな時、留学の話が出て……これを受けたら、きっと私のピアノのレベルは上がるだろうけど、でもそれは、いつかまたぶつかる目の前の壁を、とりあえず回避するだけなんじゃないかって思ってたの」
そう言って、姉は少しだけ気まずそうな微笑みを浮かべた。
「華、おめでとう。華の幸せそうな顔なんて、もう何年も見てなかったから、すごく嬉しい」
「お姉ちゃん……ありがとう。
お姉ちゃん、ごめんね……」
「華、待って。私今、華に謝られることなんて何もないわ」
そう言って、姉は優しく微笑んだ。
「私はね、ピアニストを目指していた頃、練習が大変でもいつも楽しかった。
でもね、いつの頃からか、たまに苦しく思うことがあったの」
「お姉ちゃん?」
「私ね、いつの間にか華のことを羨ましく思ってたの。
華のピアノの音色は、いつもコンクールで好評だったね。あんな音色は、どう頑張ったって私には出せそうになかった。ある意味限界を感じていたの。
だから、このままピアニストを目指すかどうかも迷いがあったの。
そんな時、留学の話が出て……これを受けたら、きっと私のピアノのレベルは上がるだろうけど、でもそれは、いつかまたぶつかる目の前の壁を、とりあえず回避するだけなんじゃないかって思ってたの」
そう言って、姉は少しだけ気まずそうな微笑みを浮かべた。