敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
それからみんなでランチを食べて、実家をあとにした。
帰りの車の中で、姉との話を恭介さんに明かした。


「そうか。よかったね、華」

「はい。なんだか、心が軽くなりました」

そういう私に、恭介さんは前を見つめたまま私の手をそっと握ってくれた。



「ところで華、今日はこのまま僕の実家に行くからね」

「えっ?恭介さんの実家って……」

「だって、今日を逃したら入籍が遅くなるでしょ?うちの親に挨拶したら、その足で婚姻届を出しに行くから」

「えぇ!?」

驚く私を尻目に、恭介さんは一通の封筒を渡してきた。

「中、見ていいよ」

そう言われて封筒に手をかけたけど、中身がわかって絶句してしまった。

婚姻届?
しかも、あとは私が記入するだけになってる。

「恭介さん、これ、いつの間に?」

「華がお姉さんと話している間にね。ご両親には、いつ出してもかまわないって言われたよ。
それに、僕の両親にはもう華のことを話してあって、華との結婚に賛成してくれてる。何も心配いらない」

「恭介さん、何でもかんでも急すぎです!
でも……ありがとう」

「僕は華の味方だからね。はやく華を奥さんにして、今より堂々と華を守りたいんだ」

「恭介さん……ありがとう。私、恭介さんが大好きです」

「ああ、僕も華を愛してる」





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