敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
けど……そんな日は、数ヶ月しか続かなかった。


「恭介さん、報告があるんだけど……」

「ん?何?」

「あの、あのね……」

言い淀む私に、恭介さんは励ますように優しい微笑みを浮かべて、きちんと座り直して向かい合ってくれた。

「実は……赤ちゃんができたかもしれないの」

もじもじする私に対し、恭介さんは一瞬ぽかんとした顔になった。
恭介さんでもこんな顔になることがあるんだあ……と思っていると、思いっきり抱きしめられた。

「本当か!?華、すごく嬉しいよ」

「もしかしてと思って自分で調べたら、陽性だったの」

「そうか!じゃあ、明日にでも一緒に病院に行こう」

「一緒に?でも恭介さん、お仕事があるでしょ?私は退勤後にでも行くつもりだけど」

「何言ってるの華!この一大事に呑気すぎる。長谷川に連絡して、明日の午前中を休みにしてもらう。華もだぞ」



こうして恭介さんによって、強制的に休みを取らされ、病院へ行った。
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