敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
「華次第ですが、先生のおっしゃったことはそのまま伝えます。
先生の想いに添えなかったら申し訳ないのですが、、」

「よろしくお願いします。私の名刺をお渡ししておきます。午後はスタジオにいることがほとんどなので」

「はい、わかりました」

「それでは、これで失礼します。話を聞いてくださってありがとうございました」

「こちらこそ、わざわざお越しいただいて、ありがとうございました」





その日、帰宅すると、母から羽山先生が訪ねてきたことを聞いた。
中学生の頃に出たコンクールで、羽山先生が声をかけてくださったことを思い出した。


「華、あなた次第だけど、一度羽山先生を訪ねてみたらどうかしら?」

「うん。考えてみる」


ピアノから離れていた間も、私の心の中には常にピアノの存在があった。
きっと、きっかけが欲しかったんだと思う。
私は、思い切って羽山先生を訪ねてみることにした。
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