敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
それを聞いていた柿本さんが、

「これから無償で演奏してくださるなら、それらの代金はうちで持たせてください。報酬の先払いではなくて、名目は私個人からのプレゼントとして。それなら問題もないでしょう」

と言い出した。

「わ、私、そんなにしてくださるほど良い演奏できないかもしれませんよ」

「それは問題ないですよ。神崎さんの演奏の素晴らしさは、私が保証しましょう」

「あの羽山先生がそこまで認めるのでしたら、問題ありませんね。
神崎さん、そうと決まれば1ヶ月後から来ていただけますか?」

「は、はい。精一杯務めさせていただきます。よろしくお願いします」


さらに細かいことはおいおい連絡して決めるとして、この日は解散となった。

バーでの演奏を始めるまでに、佐織さんとドレス選びに出かけた。
それから、佐織さんの妹の加織さんに、メイクとヘアアレンジも一度やってもらった。

「華ちゃん、すっごく素敵よ!やっぱり華ちゃんは美人さんね!!」

「す、すごい。さすがプロの仕事ですね。
こらなら普段の私と雰囲気が全く違うので、私とはばれなさそうです。ありがとうございます。これからよろしくお願いします」

こうして、金曜と土曜の21時から1時間ほど、バーで演奏することになった。
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