敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
拍手がもらえたことに安心し、それから数曲弾き、控室に引き上げた。
着替えをすませると、羽山先生と佐織さんが訪ねて来てくれた。

「神崎さん、今日の演奏は一段と素晴らしかったですよ」

「本当、さすが華ちゃんね。他のお客さんも絶賛してたわよ」

「よかったあ」

「明日からも大丈夫そうですね。困ったことがあったらいつでも相談してくださいね」

「先生、ありがとうございます」

そこへ、オーナーの柿本さんも、やって来た。

「神崎さん、お客様の反応がすごく良かったですよ。早速、あのピアニストはどういう人かと訊ねる人が何人かいましたよ」

「えっ……」

「大丈夫ですよ。約束ですからね。一切答えられないと伝えていますから」

「なんか、手間をかけさせてしまってすみません」

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