敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
「とんでもない。
でも、今夜の演奏の評判が広がれば、あなたの演奏を目当てに来店するお客様も増えるでしょうね」

「私の演奏が、少しでもお店のお役に立てると良いのですが……」

「これだけ反響があったんですから、大丈夫ですよ。早速、明日も来るとおっしゃる方もいたぐらいですので」


コンコン


「失礼します」

そこへ、店員さんが入って来た。

「オーナー、ちょっと困ったことがあるんですが……」

そう聞いて、柿本さんが立ち上がろうとすると、

「あっ、神崎さんに関係のあることなのでここで」

と、柿本さんの動きを止めた。

「先ほどの神崎さんの演奏が素晴らしかったことと、とてもお美しい方だというのが男性客に受けが良かったようで……店側から神崎さんの情報が得られないならと、店の外で待ち構えて本人に声をかけようとしている方がいるようなんです」
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