敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
翌土曜日も、やどり木でピアノ演奏をした。
この日も、加織さんがメイクとヘアアレンジを素敵に仕上げてくれた。

「華ちゃん、昨日で自信がついたみたいね。今夜は姉たちがいないし、私もこれで失礼するけど、困ったことがあったらすぐに連絡してね」

「はい。ありがとうございます」


2日目の今夜は、しっとりした夜にお似合いの曲を選んだ。


ードビュッシー 〈月の光〉ー


この日の演奏も好評で、拍手をいただけて安心した。


コンコン


「神崎さん、失礼します」

帰る準備をすませたところへ、柿本さんがやって来た。

「お疲れ様です。今夜の演奏もすごく好評でしたよ。昨夜来店された何人かが、今夜もあなたのピアノをめあてに来てくださってましたよ」

「それは嬉しいです」

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