敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
コンコン

「はい」

「神崎さんをお連れしました」

「どうぞ」

「失礼します」

長谷川さんはそう言ってドアを開け、私を通してくれた。

「し、失礼します」

「ああ神崎さん、よく来てくれました。こちらへどうぞ」

私をソファーに座らせると、その向かいに社長も座った。


社長は独身で、背が高くて整った顔をしている。
普段は優しげな目をしているけど、ここぞという時は厳しい顔をする。
そのギャップがまた女子社員に人気だ。

私も、社長は素敵だと思う。
でも雲の上の人のようで、ただただ緊張するばかりだ。


「そんなに硬くならないで、リラックスしてください」

「は、はい」

ガチガチになった私を見て、社長はクスリと笑った。
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